2015年 『後藤眞子作品集』

 

 




撮影:山崎兼慈

装丁:大西和重

印刷管理:三浦啓伯

印刷:(株)サンエムカラー



サイズ:A4変形

総頁:64頁

 

写真家の山崎兼慈さんの紹介で、陶芸家の後藤真子さんの作品集を制作させていただいた。


後藤さんは、陶芸で人や動物、家などの作品を作っておられる。
どれもとってもユニークで、一度見たら忘れることのできないものばかり。


造形の基本がしっかりと確立しておられるので、小さいサイズの顔シリーズなどはさっと作られているにもかかわらず、上質の天平彫刻を思わせる。だから、どんなものをイメージされても、作品として形にしてしまうことができる。


しっかりした技術をベースにしたうえで、こんなものが作りたいと夢中になって作られた結果が、作品となっている。
それが、人の心を動かすのだと思う。


後藤さんは、専業主婦として過ごしてこられた。
陶芸で生計を立てておられるわけではないから、何にも制約されることなく思うがままに表現されてこられた。


旦那芸という言葉がある。これは本当は非常な褒め言葉だ。
生計を立てるための作品ではないが故に、自分の表現を突き詰めることができる。そしてその結果、職業作家の作品を越えてしまうことがあるということだ。怖いもの無しなのだ。それが旦那芸ということだ。


光悦も抱一も実は旦那芸だ。光琳ももともと旦那芸から入った。その意味では、後藤さんの作品は究極の奥方芸とでも言うべきものだと思う。


パラミタミュージアムで作品を拝見したが、なかでも私は<アフリカの貴婦人>に感動した。
質感、色、形、どれをとってもすばらしい。私は行ったことはないけれど、アフリカの臭いがすると思う。
後藤さんはアフリカが好きで、奥地まで旅してこられて、感動したものを作品にされているという。
その後藤さんの感動が、作品を通してこちらに伝わってくる。

後藤さんの作品は、粘土の素焼きのものが大半だ。
だから、明るい色のものが多い。
でも、作品が大きいうえに土の中に粗い粒子を練り込んであるから、とても質感がある。


印刷で表現するときには、明るいと軽くなって、質感がでずに薄っぺらなものになりがちだ。
だから、山崎さんが工夫されたライティングでの微妙な陰影を生かして、明るいなりに質感のでる印刷表現をめざした。


ザイン大西和重さんの、テンポのいいデザイン構成によって、とってもワクワク感あふれる本になったと思う。