2016年 山尾幸久

     『古代の近江ー史的探究』

  

  著者: 山尾幸久 

  発行: サンライズ出版株式会社

  装訂: 大西和重

  本文印刷: サンライズ出版株式会社

  口絵印刷: 株式会社サンエムカラー

  サイズ: A5

  総貢: 372貢

  定価: 3000円+税 

  2016年4月30日発行

 

『古代の近江史的探究』での山尾先生の視点は、従来地域の歴史(郷土史)として論じられてきた地域史を、王権や国家との関わり、さらには東アジア史という大きな流れのなかで論じようとされるもので、とてもスケールが大きい。先生も「まえがき」のなかに記しておられるが、「地域社会に独自の民俗と信仰、生活と文化、そのような伝統を再認識する課題は確かにある」けれど、ここでは、古代東アジア史の一環として近江を論じると視点を明確にしておられる。地域史がこのようにも論じることができるのかと、本当に新鮮にうつる。
 本の構成は、序論(1.古代国家の性質 25世紀の移住民の役割)で基本的な視点を提示された後、第1部(総論)古代近江の史的分析 で、第1 古代近江の歴史的特徴 第2 邪馬台国と近江 第3 継体大王と古代の近江 第4 国造と近江 第5 天智大王と壬申の乱 第6 比叡山の開山と天台宗 第7 江戸時代の古代近江研究 と概括的な論述が続く。第2部(各論)古代近江の諸相 では、113項目におよぶ事象が 1. 社会と制度 2,文字史料 3,氏と人物 4.伝承と遺跡 5.寺院 6.神社 7.荘園に分類されて論じられている。

 

序論や第1部の総論がとっつきにくいと思われれば、第2部の興味のある項目から読み始められればよい。たとえば、三上山の項を読むと御上神社の項を読むように導かれ、そこからさらに安直氏、野洲川の古代寺院跡に導かれ、さらには第1部の国造、古代国家の成立へと問題が拡がって行くことがわかるようになっている。

 

地図もついているので、それぞれの位関係がわかるようになっているし、索引も活用していただければ、その項目に関係することが別のどの項目でも論じられているかがわかり、それをたどってゆくとどんどん視野が広がることになる。知らず知らずのうちに、個別事象がいかに大きな問題と関係しているのかが理解できるようになる。 

 

サンライズ出版さんに版元を引き受けていただくことになり、編集は私が担当させていただくことになったが、なにぶん私に基礎知識が不足しているために、山尾ゼミOB会の皆さんに援助をお願いした。本の構成をはじめ、参考文献の拾い出し、校正、索引の作成にいたるまでゼミの先輩後輩の皆さんに助けていただいた。

 

私はカラー印刷、とくに古美術の印刷をホームグラウンドにして仕事をしてきていたので、山尾先生の本にも口絵を付けたいと考えた。先輩にあたる大橋信弥先生のご紹介で、近江の文化財、風景を専門に撮影されている寿福滋氏の写真をお借りして、口絵、カバー、挿図にふんだんに使わせていただいた。

 

協力者一覧のページに、編集協力として協力していただいたゼミの皆さんのお名前をあげさせていただいたが、分担まで記すことができなかったので、特にご助力いただいた皆さんのお名前を列記させていただく。ほんとうにありがとうございました、


写真 寿福滋
装釘 大西和重(ザイン)
組版 清水幹夫
口絵・カバー印刷 サンエムカラー

原稿テキストデータ化 丸山竜平(山尾ゼミOB会)
地図原図作成 丸山竜平
地図作図 佐々木誓子
校正 榎英一(山尾ゼミOB会)
校正 矢島潤(サンライズ出版)
索引 湊哲夫(山尾ゼミOB会)
史料出典・参考文献 樽本修(山尾ゼミOB会)
構成・校正・挿図 協力 大橋信弥 上川通夫 高橋昭裕 竹森友子 田中聡 中村聡 毛利憲一 森内秀造 若槻真治(山尾ゼミOB会)

A5
並製本かがり綴じ カバー装
総頁 372ページ(口絵16ページ 前付20ページ 本文336ページ) 
発行 サンライズ出版
定価 3000+

購入お問い合わせ
一般 サンライズ出版 (TEL.0749-22-0627)
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