2022年  『燕然山銘拓本』

 

著者:魯朴 他

発行人:平出秀俊

発行:藝文書院

印刷:2022年11月30日発行

 

 


後漢の永元元年(89)、漢と対立していた北方の遊牧民、北匈奴を、竇憲(とうけん)が遠征して破ったが、この事跡を従軍していた班固に記させて燕然山に刻んだ。これが「燕然山銘」である。

このことは、『後漢書』竇憲伝に記され、銘文も載せられており、さらに『文選』銘類にも「封燕然山銘并序」として銘文が記載されたので、その存在はよく知られていた。その後、原石の所在は長らく不明のままであったが、近年、ゴビ砂漠の北辺で発見された。その原石から初めて採った拓本が、今回の<燕然山銘初拓本>である。

書籍でのみ知られていた銘文の現物が、1900年の時を経て発見されるという奇跡的なことが起こったことになる。

「燕然山銘」は自然の岩山を少しだけ平らにして彫られたものであるうえに、永年砂漠の風塵にさらされていたので、かなり読みづらくなっているが、後漢の書跡として非常に貴重な物である。原石の銘文と伝えられてきた文章が、異なっているところが何か所かあり、その異同もこの本に注記されている。

印刷にあたっては、極力文字が読めるように調整した。