紅葉の芦生‥伏条台杉

「千年の時間を生きてきた巨木に会える」というので、ガイドさん2人と同好の仲間5人、小雨の降る芦生の森を歩いてきました。

ここは、熊と出会うこともある森の中、入山とともに、ガイドさんが笛を吹きました。

「ピーピー!今から人間が山にはいりますよー、出会ったらお互いにびっくしちゃうから、出てこないでねー!」という合図です。

 

人間と動物、上手く住み分けをして生きていきたいですからね。

 

京都市内はまだ、紅葉は始まったばかり。でも芦生はもう晩秋の景色です。

落ち葉の種類によって、地面の色もこんなに変ります。

何十年も何百年も、落ち葉が積み重なってできた足元は天然のクッション、優しい感触が足に伝わってきます。

 

芦生は「気候区分では日本海型と太平洋型の移行帯に位置し、植生区分の上からも暖温帯林と冷温帯林の移行帯に当たるため、植物の種類が多い。著名な分類学者の中井猛之進博士が『植物ヲ學ブモノハ一度ハ京大ノ芦生演習林ヲ見ルベシ』(1941)と書いた森林である。」(京都大学フィールド科学教育研究センター芦生研究林 HPより)

 

異様な形をした木に出会いました。

枝先にコブのようなものをたくさんつけています。

枝が折れたあと、樹木が身をまもるためにつくるのだとか‥

霧がかかった山中で出会うと一種異様な感覚に襲われます。

 

折れたコブがあったのでアップで撮影できました、なにかに似ていませんか?

そう、「ものけ姫」に出てくる「こだま」です。

「こだま」はこのような森の中から生まれたに違いないと思えるのです。

作者の宮崎駿さんは、何度も屋久島に足を運び構想を練ったそうです。

たしかにこの森は私の山歩きのきっかけともなった屋久島の森にとてもよく似ています。

 

黄色く紅葉した葉っぱが絡まっているかと見間違うような木が‥

よーく見ると★キノコ★の大群です!!

 

色鮮やかな紅葉の森の中ではつい、見落としてしまいますが、ガイドさんはさすがです。

足元の草むら、倒木の陰、次々見つけていきます。

食用になるもの、反対に毒をもつもの、漢方薬になるもの、まるでキノコ図鑑です。

 

 

 

「傾斜地形の多い本研究林では、斜面に対応した樹木の分布密度の変化が見られる。斜面上部ではアシウスギの分布密度が高く、中腹ではブナを主にミズナラなどが優先し、斜面下部から沢沿いの湿潤なところにはトチノキとサワグルミが優占する。アシウスギには、主に若木個体などの下枝が雪圧によって接地・発根し、やがて一個体として独立するという方法で増殖する、多雪地に特有の更新様式(伏条更新という)が見られる。」(京都大学フィールド科学教育研究センター芦生研究林 HPより)

 

「長岡京、平安京の造営時や御所炎上の際には、膨大な量の建築用材がこの地より供給されたという記録が残っています。鎌倉、南北朝時代(1192年~1603年)には、御料林を中心に林業技術が発達し、1本の木から多くの材がとれるように台杉(やぐら杉ともいう)仕立てが盛んに行われました。」(京都市情報館「片波の伏条台杉(ふくじょうだいすぎ) 」より)

 

左の写真が、この辺りで最大の伏条台杉です。

もう言葉はいらない、と思います。

が、すこしだけ‥

 

■台杉仕立て■ 

まず一本の成長した杉が利用目的に合う長さや太さに達したとき、根元ではなく上部から伐採します。

その台杉より萌芽する立木が育つと、一樹多幹の台杉に変身します。その立木を次々伐採し続けるわけです。

 

ということで、この木も千年程昔には台杉として使われていたのでしょう。

雪深い芦生なら、1~2m地面も上がりますから、上部での伐採も冬季におこなわれたのでしょうか。

伐採した木は北の谷に流せば由良川水系から若狭に、南の谷に流せば淀川水系から京都に届くことになります。

 

これらと間近に接すると、巨木に神が宿ると考えるようになったのも頷けます。

思わず、手を合わせたくなってしまいます。

 

では、最後にしばし、芦生の山をフォトギャラリーでお楽しみください。

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コメント: 4
  • #1

    紅の同居人 (日曜日, 13 11月 2011 17:24)

    う~ん・・なんとも素晴らしい空間の中に!!

    一枚、一枚の写真が、
    キノコ達でさえ、原生林での息ぶきを蘇らせてくれるようで
    見惚れてしまって・・・

    あー もう、外は真っ暗になってきてしまいました!!

    でも、もう少しここにいますね。

  • #2

    gengensha (日曜日, 13 11月 2011 22:57)

    紅の同居人さん

    このような空間の心地よさを共有できるお友達が広がり‥幸せです。
    次はどこをご一緒に歩きましょうか?

  • #3

    Nawshica (木曜日, 08 12月 2011 12:21)

    芦生は樹木実習でも個人的にも何度も訪れましたが、とってもいいところですね。最後から2番目の赤い実の付いた木は、短枝が目立つことからアオハダかな? 赤い実は鳥のご馳走です^^

  • #4

    gengensha (木曜日, 08 12月 2011 23:24)

    Nawshicaさん
    本当にこの時期、山はご馳走で一杯ですね。
    芦生は私の大好きな場所です。今回初めてガイド付き、ということで迷子になる心配もなく(前回、迷いかけたというトラウマがありまして‥)堪能してきました。
    Nawshicaさんのように生物にも植物にも精通しているともっと楽しめるのに‥「アオハダ」 覚えます!