春日若宮おん祭-遷幸の儀

春日大社に「春日おん祭」の特別奉拝の許可をいただきました。

まず「遷幸の儀」‥若宮の御神霊が御旅所へお遷りになる儀式‥にお供します。

その後「暁祭」‥御神霊を御旅所に入られた後の儀式‥に参列します。

 

めったに無い経験が出来ることに少し緊張気味の私は、夕方から奈良入りし、奈良公園を散策したあと、午前零時の遷幸の儀開始に備え、宿で仮眠をとります。

「一の鳥居」もすっかり祭り姿です。
「一の鳥居」もすっかり祭り姿です。

夕闇迫る浮御堂を見ることはめったに無いこと。

なかなか風情があります。


ここが、お旅所の中に造られた假御殿です。

手前には芝舞台が盛り土されて造られています。

明日ここでくり広げられるお旅所祭りの、神事芸能への期待も膨らみます。

 

 

そして‥夜

 

10時半、「初度の案内申~す」という御神霊がお出ましになるという案内の声が神社内に響きました。

いよいよ「遷幸(せんこう)の儀」が始まります。

儀式は全て漆黒の闇の中で行われます。もちろん写真撮影は禁止、懐中電灯も、携帯の明りもだめです。

 

 

三度の案内の声と乱声(らんじょう)‥楽人(がくじん)が奏でる雅楽‥の後、若宮の拝殿の御格子が カタッ!カタッ!と鳴る音が聞こえました。

オー!いよいよ御神霊がお出ましになったのだ!と、ドキドキしてきます。

現代に生きる私でさえもこんな気持ちになるのに、800年も昔の人々はどれ程神秘の面持ちでこの時を迎えたのでしょう。

 

先頭を行く2本の松明の火で道を掃き清めながら、その後ろに高く掲げられた4本の榊の中に御神霊は守られ、お旅所までの40分の道を遷幸されます。

他の祭りのように神輿がないことがミソのように思えます。

形があると、その形に目がいきますが、形がないと、そこにあるものは何なのだ?と精神が傾いていくような気がします。

御神霊の後ろは楽人が道楽(みちがく)を奏で、その後ろに付き従う私たちは、ヲー ヲーという警蹕(けいひつ)の声を発しながら続きます。

普段発したことが無いような声も、発せねば!発したい!と思えるようになるから不思議です。

神秘の中に身をおくと、自己を変えられる気がする(あ~、でもこの感覚で他者に操られると危ないかも!)

 

お旅所では、「儲乱声(もうけらんじょう)」の音と鼉太鼓(だだいこ)」を打ち鳴らして行列を迎えます。

御神霊がお旅所の仮御殿に入られ、瓜灯篭が掲げられると「暁祭」が始まります。

闇に浮かび上がる鼉太鼓とドーン、ドーンという音、燃え上がる薪の炎、神楽の音色‥もう感動!!

真夜中だと言うのに、道中もお旅所の周りも人でいっぱいです。

鼉太鼓
鼉太鼓

宿に戻って布団にもぐりこんだのは午前3時。

17日の「お渡り式」と「「お旅所祭」については後日‥

 

 

☆☆☆ 春日若宮おん祭については、弊社制作の『春日舞楽の名宝』で詳しくご覧になれます。

      春日大社宝物殿で販売されています。☆☆☆