北山杉の里を訪ねて【Ⅱ】‥宗蓮寺

巨大な台杉、まさかこんなものに出会えるなんて‥
巨大な台杉、まさかこんなものに出会えるなんて‥

「宗蓮寺」は中川集落を上から望むような高台にある浄土宗のお寺です。

集落で駐車場所を尋ねた方が親切な檀家の方で、わざわざ案内してくださいました。

民家の間を上っていくと、途中巨大な台杉が‥樹齢何百年?いや、もっとかも‥

とにかく集落の中に、普通にこんな杉があるのですから驚きます。

 

 

せせらぎに沿って建てられた、やはり杉でつくられた待合風な建物も風情があります。


萩の花が咲き始めています。

幹にすばらしく風格のある台杉と、石橋、石段‥出迎えてくれるこの風景を見ただけでも、参ってしまいます。

 


門の内側は、見事に手入れされたお庭が広がります。

後で知ったことですが、知る人ぞ知る秘境の花の寺、花好きな御住職が、ほとんど御自分で手入れをされているとのことです。

 

 


いまは、シュウカイドウと萩、ススキなどがあちこちに美しく揺れています。

まもなく、貴船菊・ツワブキが咲きそうです。

 

ともかく、立派な樹木と数え切れないほどの花が植えられていて、ともすればバランスを崩すのでは?と心配する程なのに、ここではすべて不思議なほど調和がとれていると思えるのは、周りの自然と、御住職の手入れの賜なのでしょう。

 

 


観光寺院ではないので、本来は本堂に立ち入ることなどできないはずですが、見ず知らずの私たちを、檀家の方のご案内というだけで上げてくださり、お薄の接待まで‥こうばしい大徳寺納豆の茶菓子がおいしかった!

ひたすら恐縮する友人Kさんと私です。


 

そして座敷に面した、このお庭。

きれいに手入れされた笹が敷き詰められています。

笹のお庭というのは、市内ではあまり見られないかと思いますが、この北山杉に囲まれた空間にはすばらしく似合っています。

その中に座した如意輪観音の石仏は、なんとも透明感のある色気が素敵です。

 

秋にはさぞ紅葉が見事だろうと思わせるモミジの向こうには、清滝川と北山杉の山が創り出す広大な風景を臨むことができます。

 

 


人知れず、幽玄とも思われるような空間が存在し、出会った方々の好意で、ここに居させていただいている‥感謝です。

 

ふと、座卓をみると、なんと舎主が手がけた、水野克比古先生の写真集「心象の京都」があるではありませんか。

宗蓮寺の写真が載っています。帰宅して調べると、「京の野仏」「京都花名所」と、先生の写真集のそこかしこに‥不覚です。

 

いろいろな方と、様々な場所で繋がっていることに感謝しながら、日々を過ごしたいなあと、心から思います。